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CPCによる外国文献調査

外国文献の特許調査の必要性

拒絶理由通知で引用される文献は以前は殆どが国内の文献であったと思いますが、最近はUS、WO、EP等の外国文献が引用されることも少なくないと思います。発明の内容によっては関連の深い文献が内国文献に偏っていることもありますが、内国文献と外国文献の両方に関連の深い文献が存在する場合や、関連の深い文献がむしろ外国文献に偏っている場合もあります。私が実際に担当した案件でも内国文献検索では有力な文献を全く見つけることができなかったのに、外国文献検索でX文献や有力なY文献が見つかったというケースが何件かありました。関連の深い文献が内国文献に偏っている発明については内国文献をサーチするだけでもよいかもしれませんが、内国文献と外国文献の両方に関連の深い文献が存在する場合や、関連の深い文献が外国文献に偏っている場合は調査精度の向上という点で外国文献のサーチも行うのが望ましいと言えます。

CPC(共同特許分類)

CPCはEPO(欧州特許庁)とUSPTO(米国特許商標庁)が共通で使用する特許分類です。国際的な特許分類としてはIPCがありますがIPCは分類が粗いため日本の特許庁はIPCを細分化したFIという分類を用いています。同様にEPOは以前はECLAという分類を、またUSPTOはUSCという分類を用いていましたが、2013年からEPOとUSPTOは共通でCPCを使用しています。CPCで分類検索することによりUS、WO、EP等の外国文献をサーチすることができます。また、中国や韓国の比較的新しい特許文献にもCPCが付与されています。

CPCの調べ方

分類対照ツール

特許庁の分類対照ツールでは日本語のキーワードからIPC、FI、CPCを調べることができます。またIPC、FI、CPCのいずれかの分類を入力することで他の対応分類と並べて表示させることができ、IPCやFIから対応するCPCを調べることができます。なおCPCもFIもIPCを細分化したものですが細分化の内容は異なります。したがってFIとCPCを並べて表示させた場合、IPCよりも下位の階層の分類についてはFIとCPCは隣に並んで表示されていても一般的に内容は同じではありません。上位の分類が共通であるものが便宜上並んで表示されているだけですので内容は分類名で確認する必要があります。

分類対照ツール

Espacenetの分類検索

Espacenetの分類検索(Cooperative Patent Classification)では英語のキーワードからCPCを調べることができます。またCPC(分類)を入力するとその分類とともに前後の他のCPC(最上位の分類が共通であるもの)が表示されます。

Cooperative Patent Classification

関連がありそうな文献のCPCを参照する

内国文献検索等で関連がありそうな文献が見つかり、その文献にUS、WO、EP等のファミリーが存在する場合、通常ファミリー文献にはCPCが付与されています。そのCPCを上記の分類対照ツールやEspacenetのCooperative Patent Classificationに入力することでそのCPCの分類名や前後の他のCPCを確認できますので、それらの中から目的に合ったCPCを見つけることができる場合があります。経験上、分類対照ツールやEspacenetのCooperative Patent ClassificationのページのみでCPCを調べるよりも、関連がありそうな文献に付与されているCPCを参照する方が適切なCPCを見つけられる場合が多いように思います。なおファミリー文献や付与されているCPCはEspaceneのSmertSearchやJ-PlatPatのワン・ポータル・ドシエで照会できます。

SmertSearch

外国文献の検索サイト

CPCからEP、US、WO等の文献を検索できる無料のサイトとしては以下のようなものがあります。

J-PlatPatによる外国文献検索

J-PlatPatの特許・実用新案のメニューの中の特許・実用新案検索を選択し、選択入力タブでテキスト検索対象の英文及び外国文献を選択しますと、その下の検索項目でCPCを選択できるようになります。その右のキーワードを入力する欄にCPCを入力することでCPCによる外国文献のサーチを行うことができます。なお、論理式入力のタブを利用される場合は、テキスト検索対象の英文及び外国文献を選択し、その下の論理式の欄にCPCを入力し末尾に「/CP」を付記することでCPCによるサーチを行うことができます。

J-PlatPat 特許・実用新案検索

Espacenetの高度の検索

Esapacenetの高度の検索(Advanced search)のページにはCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。なお一番上のサーチ範囲のメニューで「full collection」を選択するとキーワードのサーチ範囲が発明の名称、要約に限定されてしまいますが、「EN(english) collection」を選択すれば全文検索できます。

Advanced Search

Google のAdvanced Patent Search

GoogleのAdvanced Patent SearchにもCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。

Advanced Patent Search

USPTOのSearch for patents

USPTOのSearch for patentsはPatFT(特許公報)とAppFT(出願公開公報)を別々に検索するようになっています。どちらにもQuick SearchがありCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。

Search for patents

ワン・ポータル・ドシエ

外国の審査情報等へのアクセスが容易に

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)にワン・ポータル・ドシエの機能が追加され、パテントファミリーやその審査状況等の情報が得られるようになりました。これまでもEspacenet(ヨーロッパ特許庁のサイト)やUSPTOのサイトを利用してパテントファミリーの審査状況等を調べることはできましたが、例えば出願番号や公開番号の入力形式(「ー」や「/」の有無等)がまちまちだったり、審査情報をどのようにして見ることができるのかわかりにくかったりして使いにくい面があり、慣れていない人にとっては若干ハードルが高かったかもしれません。J-PlatPatにワン・ポータル・ドシエの機能が追加されたことでパテントファミリーの情報にアクセスしやすくなりそうです。

特許調査への利用

ところでパテントファミリーの情報を調べる目的としては、自身が担当する案件の外国における審査状況の把握や、競合他社の動向調査等が考えられますが、先行技術文献調査にも有用です。

外国の審査で引用された文献を調べる

例えば、先行技術文献調査で調査対象の発明に近い内容が記載された文献が見つかった場合に、その文献のパテントファミリーの審査で引用された文献の中からさらに近い内容が記載された文献が見つかる可能性があります。

外国文献検索における分類選択に利用する

外国文献のサーチではCPC等の分類を適切に選択する必要がありますが、調査対象の発明に近い内容が記載された文献のパテントファミリーに付与された分類を参考にすることで、外国文献検索における分類選択の精度向上が期待できます。

なお先行技術文献調査でスクリーニングする文献にはパテントファミリーが存在しないものも多く含まれていますので、まずは特表、再表、国際公開のようなPCTルートの文献やパリルートの優先権主張を伴う文献から調べてみるとよいと思います。

ダイレクトPCTと審査ハイウェイ

PCT出願が増加

外国に特許出願する場合、パリルートかPCTルートのいずれかを利用することが多いと思います。PCTは費用が高いので例えば3か国以上に出願するならPCTルート、2か国以下ならパリルートを選択するというようなことをよく耳にします。したがって、PCTルートはどちらかというと少数派というイメージだったのですが、先日WIPOの方が講師をされているセミナーに参加しましたところ数年前からPCTルートで権利化されるケースがパリルートを上回っているそうです。

ダイレクトPCTの増加

私が扱ったPCTの案件ではまず国内に通常の特許出願をしておいて、これを基礎とする優先権主張をしてPCT出願をするというパターンが多かったのですが、最初からPCT出願するダイレクトPCTも増えているそうです。PCT出願では国際調査見解書が得られるため特許される可能性をある程度予測することができます。したがって、その後の国内移行や翻訳文の作成を進めてよいか判断しやすいことが理由の1つと考えられますが審査ハイウェイも関係しているようです。

審査ハイウェイとの関係

例えば出願人は国際調査見解書によって特許される可能性が高いと判断した場合、まず自国に国内移行して特許査定を受け、これに基づいて審査ハイウェイを利用して外国に出願することで外国でも特許査定が得られる可能性が高くなります。慣れない外国で拒絶理由が通知されると中間処理のための対応や費用の負担が大きくなりますが審査ハイウェイを利用することで拒絶理由が通知される可能性が低くなりますので中間処理の負担の抑制が期待できます。また結果的に権利化できずに終わってしまう外国出願のための無駄な翻訳文の作成費用の抑制も期待できます。

なおパリルートや優先権主張を伴うPCTでも審査ハイウェイを利用することは可能ですが、例えば自国で特許査定を受ける前に外国で審査が開始されてしまいますと審査ハイウェイの効果が得られなかったり効果が限定的となってしまう可能性がありますので、自国の審査は早期に受けることが望ましいことになります。ダイレクトPCTですと早期に国際調査見解書が得られますので自国で早期に審査を受けてもよいかどうか等の判断もしやすくなります。このようなことより外国へ特許出願をする場合は一応選択肢の1つとしてダイレクトPCT+早期審査+審査ハイウェイというパターンを検討しておくべきと考えます。

特許庁国際出願関係手数料表

PCT出願の料金

PCT出願の期間限定料金

ダイレクトPCT出願のモデルケース

審査請求料、特許料等の減免制度

(1)中小ベンチャー企業、小規模企業等の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料、国際出願に関する手数料が1/3または1/2に軽減される場合があります。

(2)個人の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料が免除されたり、 1/2に軽減される場合があります。

(3)法人の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料が1/2に軽減される場合があります。

詳細は以下を御覧ください。

審査請求料、特許料等の減免制度

※2019年4月1日から手続きが簡素化され、また適用範囲が拡大されました。

国際出願関係手数料の軽減措置

個人事業主、法人の方で一定の条件を満たしていれば国際出願手数料、調査手数料、送付手数料が1/3、または1/2に軽減される場合があります。詳細は以下を御覧ください。

国際出願関係手数料の軽減措置

※2024年1月1日から国際出願手数料も軽減対象となりました(国際出願促進交付金制度は廃止されました)。

東京都助成金

東京都内の中小企業(会社及び個人事業者)等であれば外国出願(特許、実用新案、意匠、商標)、特許調査等の費用について1/2の助成を受けられる場合があります。詳細は以下をご覧ください。

東京都知的財産総合センター助成事業

ダイレクトPCT出願のモデルケース

優先権によらず最初からPCT出願し、請求項2以下について特許性を肯定する国際調査見解書が得られ、これに基づいて日本に国内移行し、特許性が肯定される請求項2以下を残す補正をして早期審査を請求し、国内で特許査定を得て審査ハイウェイを利用し外国に国内移行するケース(出願書類の頁数等は特許出願2と同じ)

1.出願書類

独立請求項の数1項
従属請求項の数5項
頁数(図面頁を除く)8頁
図面の枚数(頁数ではありません)5枚

2.手続きの流れ

国内手続き

PCT出願→国際調査見解書→弊所簡易コメント→国内移行(日本)・補正・早期審査請求→特許査定→特許料納付(国内設定登録)

外国手続き

特許査定(日本)→翻訳文作成・国内移行(外国)・審査ハイウェイ→特許査定→特許料納付(外国設定登録)

4.料金

国内手続きの料金

弊所料金特許庁・WIPO料金
PCT出願380,000円(税込418,000円)328,600円
簡易コメント0円
国内移行(日本)10,000円(税込11,000円)14,000円
補正書 60,000円(税込66,000円)
審査請求10,000円(税込11,000円)97,400円
早期審査20,000円(税込22,000円)
成功報酬100,000円(税込110,000円)
特許料納付10,000円(税込11,000円)18,300円
合計590,000円(税込649,000円)458,300円

ダイレクトPCTでは出願審査請求料が通常の出願に対し約4割安くなります。小企業、中小企業、ベンチャー企業等の場合、さらに出願審査請求料が1/3または1/2に減額される場合があります。また、小企業、中小企業、ベンチャー企業等の場合、特許庁・WIPO出願料金も1/3または1/2に減額される場合があります。

国際出願関係手数料の軽減措置

外国への国内移行の料金

外国への国内移行の弊所料金は1か国目が180,000円(税込198,000円)、2か国目からは150,000円(税込165,000円)/国です。この他に外国特許庁の費用、翻訳文の作成費用、及び現地代理人の費用が必要になります。国内移行する国の数、翻訳文のワード数、現地代理人の料金体系により費用が増減します。外国出願では翻訳文の作成費用が高いとよくいわれますが、拒絶理由が通知された場合は現地代理人の中間処理費用の占める割合も大きくなります。これに対し例えば米国ですと審査ハイウェイを利用することで拒絶理由が通知される可能性が低くなりますので中間処理費用の抑制が期待できます。また、PCT出願をした場合、国際調査報告の内容を確認してから外国へ国内移行しますので、結果的に権利化できずに終わってしまう可能性が低くなり、無駄な翻訳文の作成費用を抑制する効果も期待できます。ダイレクトPCTと審査ハイウェイについては以下もご覧ください。

ダイレクトPCTと審査ハイウェイ

国内手続きの料金の内訳


弊所出願料金=180,000(税込198,000)(基本料金)+9,000(税込9,900)X1(独立請求項)+6,000(税込6,600)X5(従属請求項)+7,000(税込7,700)X8(頁数)+5,000(税込5,500)X5(図面)=380,000円(税込418,000円)

弊所PCT出願手数料=80,000円(税込88,000円)

特許庁(WIPO)PCT出願手数料(税金はかかりません)=217,700円(国際出願手数料)-49,100円(オンライン減額)+17,000円(送付手数料)+143,000円(調査手数料)=328,600円

特許庁審査請求料金(税金はかかりません)=83,000+2,400X6(請求項の数)=97,400円


弊所簡易コメント料金=0円


弊所国内書面提出手数料=10,000円(税込11,000円)

特許庁国内書面提出手数料(税金はかかりません)=14,000円


弊所補正書料金(税別)=50,000(税込55,000)(基本料金)+5,000(税込5,500)X2(頁数)=60,000円(税込66,000円)


弊所審査請求料金=10,000円(税込11,000円)

弊所早期審査請求手数料=20,000円(税込22,000円)

特許庁審査請求料金(税金はかかりません)=83,000+2,400X6(請求項の数)=97,400円


弊所成功報酬(税別)=100,000円(税込110,000円)


弊所特許料納付料金(税別)=10,000円(税込11,000円)

特許庁特許料(税金はかかりません)=(4,300+300X6(請求項の数))X3(3年分)=18,300円

特許庁料金一覧

特許庁国際出願関係手数料表

弊所PCT出願費用

弊所特許出願の料金

PCT出願の弊所期間限定料金

特許出願の弊所期間限定料金

特許出願・申請のご案内


PCT出願の料金

PCT出願(国際特許出願)料金

弊所PCT出願料金

PCT出願手数料80,000円(税込88,000円)

PCT出願の期間限定料金:50,000円(税込55,000円)

上記PCT出願手数料に原稿作成料は含まれておりません。弊所に原稿作成のご依頼をいただく場合は上記PCT出願手数料と弊所特許出願料金の合計が弊所PCT出願料金です。また、弊所PCT出願料金の他に下記の特許庁及び国際事務局PCT出願手数料が必要です。

特許庁及び国際事務局PCT出願手数料(税金はかかりません)

※2024年1月1日以降のPCT出願の料金です。

国際出願手数料用紙30枚まで217,700円
用紙が30枚を超える場合の加算2,500円/枚
オンライン減額-49,100円
送付手数料17,000円
調査手数料143,000円

上記国際出願手数料、オンライン減額、送付手数料、調査手数料の合計が特許庁及び国際事務局PCT出願手数料です。上記調査手数料は日本国特許庁が日本語でされたPCT出願の国際調査を行う場合の料金です。

個人事業主、法人の方で一定の条件を満たしていれば、国際出願手数料、調査手数料、送付手数料が1/2または1/3に軽減される場合があります。詳細は以下を御覧ください。

国際出願関係手数料の軽減措置


日本への国内移行料金

弊所PCT国内移行料金

国内書面提出手数料10,000円

日本以外の国に国内移行する場合は弊所外国出願手数料に加え現地代理人の手数料が必要になります。

特許庁PCT国内移行料金(税金はかかりません)

国内書面提出手数料14,000円

以上は国際出願に関する代表的な手続きの料金です。他の手続きに関する料金についてはお問い合わせください。

特許庁料金一覧

特許庁国際出願関係手数料表

PCT出願のモデルケース