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日印特許審査ハイウェイ

 

インドの審査期間

従来の審査期間

技術分野にもよりますが、インドでは審査ファーストアクションまでに5年以上を要するケースが多くPPH(審査ハイウェイ)による審査期間の短縮が期待されます。

PPHの審査期間

日印審査ハイウェイ試行プログラムの申請の受付けが2019年12月5日より開始されました。まだ公式な発表はないようですが、弊所案件について上記申請受付け開始日に申請をしましたところ約12週後にファーストアクションが参りました。

PPH申請手続き

PPH申請の要件

インドにおけるPPHの申請は特定の技術分野に限定されています。また、年間の受理件数も当面100件/年に限定されています。詳細は以下をご参照ください。

日インド審査ハイウェイ試行プログラムについて

PPH申請手続きの流れ

提出書類

PPH申請書、日本の特許査定(日本語)及び英訳、日本で特許査定となったクレーム(日本語)及び英訳、翻訳証明をIPO(インド特許庁)に提出します。

PPH適用の審査

上記のようにインドにおけるPPHは技術分野や年間受理件数が限定されておりますので、IPOがPPHの対象として受理するか否か審査します。早い者勝ちというわけではないようです。弊所案件の場合、申請の約2週後にPPHの対象として受理されたと現地代理人から連絡がありました。

早期審査の申請

IPOによりPPHの対象として受理された後、PPHに基づく早期審査の請求を行います。なお、早期審査を申請するためにはインドにおける出願公開が要件となっています。インドで出願公開されていない場合、早期公開の申請が必要になる場合があります。

 

 

 

優先権主張手続きの容易化

アクセスコードの入手が容易に

優先権主張とアクセスコード

日本国特許庁や所定の外国特許庁/機関はWIPOのDAS(デジタルアクセスサービス)を利用して特許、実用新案の優先権書類を相互に電子的に送付することができるようになっています。出願人は第一庁から発行されるアクセスコードを第二庁に提出することで優先権書類の書面による提出を省略することができます。

アクセスコード付与請求書の提出が不要に

日本国特許庁が第一庁の場合、以前は出願人がWIPOへのアクセスコード付与請求書を日本国特許庁に提出する必要がありました。また、またアクセスコードが通知されるまでに2週間程度かかっていました。これに対し2016年3月20日以降は、特許出願、実用新案登録出願をオンラインで行い、オンラインで受領書(出願番号通知)を受信する場合、受領書にアクセスコードが併記されるようになりました。これによりアクセスコード付与請求書の提出が不要になり、またアクセスコードを入手するための時間を考慮する必要もなくなりました。

優先権書類の電子的交換が可能な国/組織

DAS参加国/組織

日本、米国、中国、韓国等の特許庁やWIPOはDASに参加しており、相互に優先権書類の電子的交換が可能です。他のDAS参加国/組織については以下をご参照ください。

DAS参加国/組織

二庁間での優先権書類の電子的交換

台湾はDASに参加していませんが日本国特許庁との間で優先権書類を相互に電子的に送付することができるようになっており、優先権書類の書面による提出を省略することが可能です。出願人は日本国特許庁から発行されるアクセスコード(DASのアクセスコードと同じもの)を台湾智慧財産局に提出することで優先権書類の書面による提出を省略することができます。

またEPOも日本国特許庁との間で優先権書類を相互に電子的に送付することができるようになっており、出願の際に優先権書類の提出は要求されません。但し、審査において優先権書類の翻訳文の提出を要求される場合があり、これに応じないと優先権が失効することになります。

またDASに参加している米国、韓国もDASとは別に日本国特許庁との間で優先権書類を相互に電子的に送付することができるようになっていますが、米国については2017年9月末をもって二庁間での優先権書類の電子的交換が廃止され、DASに一本化されます。

 

 

 

 

CPCによる外国文献調査

外国文献の特許調査の必要性

拒絶理由通知で引用される文献は以前は殆どが国内の文献であったと思いますが、最近はUS、WO、EP等の外国文献が引用されることも少なくないと思います。発明の内容によっては関連の深い文献が内国文献に偏っていることもありますが、内国文献と外国文献の両方に関連の深い文献が存在する場合や、関連の深い文献がむしろ外国文献に偏っている場合もあります。私が実際に担当した案件でも内国文献検索では有力な文献を全く見つけることができなかったのに、外国文献検索でX文献や有力なY文献が見つかったというケースが何件かありました。関連の深い文献が内国文献に偏っている発明については内国文献をサーチするだけでもよいかもしれませんが、内国文献と外国文献の両方に関連の深い文献が存在する場合や、関連の深い文献が外国文献に偏っている場合は調査精度の向上という点で外国文献のサーチも行うのが望ましいと言えます。

CPC(共同特許分類)

CPCはEPO(欧州特許庁)とUSPTO(米国特許商標庁)が共通で使用する特許分類です。国際的な特許分類としてはIPCがありますがIPCは分類が粗いため日本の特許庁はIPCを細分化したFIという分類を用いています。同様にEPOは以前はECLAという分類を、またUSPTOはUSCという分類を用いていましたが、2013年からEPOとUSPTOは共通でCPCを使用しています。CPCで分類検索することによりUS、WO、EP等の外国文献をサーチすることができます。また、中国や韓国の比較的新しい特許文献にもCPCが付与されています。

CPCの調べ方

分類対照ツール

特許庁の分類対照ツールでは日本語のキーワードからIPC、FI、CPCを調べることができます。またIPC、FI、CPCのいずれかの分類を入力することで他の対応分類と並べて表示させることができ、IPCやFIから対応するCPCを調べることができます。なおCPCもFIもIPCを細分化したものですが細分化の内容は異なります。したがってFIとCPCを並べて表示させた場合、IPCよりも下位の階層の分類についてはFIとCPCは隣に並んで表示されていても一般的に内容は同じではありません。上位の分類が共通であるものが便宜上並んで表示されているだけですので内容は分類名で確認する必要があります。

分類対照ツール

Espacenetの分類検索

Espacenetの分類検索(Cooperative Patent Classification)では英語のキーワードからCPCを調べることができます。またCPC(分類)を入力するとその分類とともに前後の他のCPC(最上位の分類が共通であるもの)が表示されます。

Cooperative Patent Classification

関連がありそうな文献のCPCを参照する

内国文献検索等で関連がありそうな文献が見つかり、その文献にUS、WO、EP等のファミリーが存在する場合、通常ファミリー文献にはCPCが付与されています。そのCPCを上記の分類対照ツールやEspacenetのCooperative Patent Classificationに入力することでそのCPCの分類名や前後の他のCPCを確認できますので、それらの中から目的に合ったCPCを見つけることができる場合があります。経験上、分類対照ツールやEspacenetのCooperative Patent ClassificationのページのみでCPCを調べるよりも、関連がありそうな文献に付与されているCPCを参照する方が適切なCPCを見つけられる場合が多いように思います。なおファミリー文献や付与されているCPCはEspaceneのSmertSearchやJ-PlatPatのワン・ポータル・ドシエで照会できます。

SmertSearch

外国文献の検索サイト

CPCからEP、US、WO等の文献を検索できる無料のサイトとしては以下のようなものがあります。

J-PlatPatによる外国文献検索

J-PlatPatの特許・実用新案のメニューの中の特許・実用新案検索を選択し、選択入力タブでテキスト検索対象の英文及び外国文献を選択しますと、その下の検索項目でCPCを選択できるようになります。その右のキーワードを入力する欄にCPCを入力することでCPCによる外国文献のサーチを行うことができます。なお、論理式入力のタブを利用される場合は、テキスト検索対象の英文及び外国文献を選択し、その下の論理式の欄にCPCを入力し末尾に「/CP」を付記することでCPCによるサーチを行うことができます。

J-PlatPat 特許・実用新案検索

Espacenetの高度の検索

Esapacenetの高度の検索(Advanced search)のページにはCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。なお一番上のサーチ範囲のメニューで「full collection」を選択するとキーワードのサーチ範囲が発明の名称、要約に限定されてしまいますが、「EN(english) collection」を選択すれば全文検索できます。

Advanced Search

Google のAdvanced Patent Search

GoogleのAdvanced Patent SearchにもCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。

Advanced Patent Search

USPTOのSearch for patents

USPTOのSearch for patentsはPatFT(特許公報)とAppFT(出願公開公報)を別々に検索するようになっています。どちらにもQuick SearchがありCPCの入力欄があります。またキーワードを併用して検索することもできます。

Search for patents

特許料等の自動納付制度

年金納付に関する費用

特許権、実用新案権、意匠権を維持するためには特許庁に年金(特許料、実用新案登録料、意匠登録料)を毎年、期限までに納付する必要があります。年金の未納は権利消滅につながるため、多くの方が特許管理ソフトで期限管理をしたり、特許事務所や年金管理会社に期限管理を委託する等の対応をしているのではないでしょうか。このような特許管理ソフトの導入や期限管理の委託のために何らかの費用が発生しているかと思います。なお特許事務所の場合は期限管理自体は無料であるところもあると思いますが、年金の納付手続きの際に費用(納付手数料)が発生すると思います。このような年金の期限管理や納付手続きのためのにある程度の費用が発生するのは仕方がない面もありますが、納付方法の選択により費用を抑制することは可能です。

自動納付制度

自動納付制度は平成21年に導入されたもので、簡単に言ってしまうと公共料金等の自動引き落とし(振替)のような制度です。自動納付の手続きを行ってしまえば、その後は年金は毎年自動的に納付されますので年金未納による権利消滅を確実に回避できます。納付期限の管理も必要ありませんし、毎年特許事務所に年金納付を依頼する必要もありません。したがって自動納付制度を利用することにより年金に関連する費用を抑制することが可能ですが、いくつか注意も必要です。

事前手続き

自動納付には予納と口座振替によるものがありますが、ここでは口座振替の方についてとりあげます。はじめて自動納付を利用される場合、まず口座振替の届出が必要です。これは特許庁から出願人、権利者に割り振られる識別番号と、年金が引き落とされる金融機関の口座とを結びつけるための手続きです。この手続きを行うと振替番号が通知されます。

自動納付の申出は納付期限の3か月くらい前までに

次に自動納付申出書を提出します。これは特許番号等と識別番号、振替番号を結びつけるためのものです。自動納付申出書を提出すると、納付期限の約60日前に自動納付事前通知があり、納付期限の40日前に年金が引き落とされます。納付期限の約60日前に自動納付事前通知がありますので、自動納付申出書は納付期限の3か月くらい前までに提出する必要があります。

自動納付の取下げは納付期限の40日前よりも前に

一方、特許権等の維持の必要がなくなり自動納付を停止する場合は自動納付取下書を提出します。納付期限の40日前に年金が引き落とされますので自動納付を停止する場合、納付期限の40日前よりも前に自動納付取下書を提出する必要があります。なお自動納付取下書の提出が遅れた場合、余分に1年分の年金を納付してしまうことになりますが、自動納付制度を利用しない場合は年金納付の遅れは権利消滅につながりますので、これよりはリスクが低いという考え方もできるかと思います。

設定登録料は対象外

自動納付は設定登録の際の特許料、登録料の納付には利用できません。したがって特許料、実用新案登録料については4年目以降の年金納付が自動納付の対象になります。また意匠登録料については2年目以降の年金納付が自動納付の対象になります。なお商標の更新登録料は自動納付の対象となっていません。自動納付制度の詳細については以下をご覧ください。

特許料又は登録料の自動納付制度について

複数年分の年金の一括納付

自動納付以外にも年金に関する費用を抑制する方法があります。年金を毎年1年分ずつ納付される方も多いようですが、特許料、実用新案登録料、意匠登録料は複数年分を一度に納付することもできます。特許事務所の年金納付手数料が1年分の年金納付でも複数年分の年金納付でも同額であれば(弊所では同額です)、例えば3年分を一括納付することで納付手続きの費用を1/3に抑制することができます。

特許庁料金一覧

特許出願の料金

J-PlatPatによる分類検索

2つの検索メニュー

J-PlatPatの特許・実用新案のメニューには「2.特許・実用新案テキスト検索」、「3.特許・実用新案分類検索」の2つの検索メニューがあります。テキスト検索は分類検索に比べて検索キー(用語)を直感的に選択できますので「2.特許・実用新案テキスト検索」の方を利用される方が多いのではないかと思います。また「2.特許・実用新案テキスト検索」ではFI、Fタームも入力できますので分類検索にも利用できそうですが分類検索については注意が必要です。

文献の蓄積範囲の違い

「2.特許・実用新案テキスト検索」ではテキストデータが存在する文献しかヒットしません。例えば公開特許公報については平成5年以降の文献しかヒットしません(画面右下の文献蓄積情報参照)。したがって分類(FI、Fターム)のみを入力して検索したとしてもテキストデータが存在しない文献は検索範囲から漏れてしまいます。実際にFI、Fタームをいくつか入力して検索してみたところ、FIについては平成5年以降の公開特許公報のみがヒットしました。またFタームについてはなぜか発行日が2000年以降の文献しかヒットしませんでした。

分類の階層の反映の有無

FI、Fタームには階層がありますが「2.特許・実用新案テキスト検索」ではFI、Fタームの階層が反映されないようです。例えばテーマコード4B059(フライパン、フライヤー)のFタームリストを見ますとAA02(少量調理用)は1ドット、AA03(平底浅鍋)は2ドットでAA02はAA03の上位の階層ですがFタームとして上位の4B059AA02を入力した場合よりも下位の4B059AA03を入力した場合の方が多くの文献がヒットします。上位のAA02で検索しても下位のAA03は検索対象から漏れています。またFIについてもA47J37/10(フライパン,蓋またはたれつけ具を含む)は1ドット、A47J37/10,301(特に卵の調理に適するフライパン)は2ドットでA47J37/10はA47J37/10,301の上位の階層ですがFIとして上位のA47J37/10を入力して検索しても下位のA47J37/10,301は検索対象から漏れています。なお日付の範囲指定のように「:」を使って「4B059AA02:4B059AA03」を入力することでAA02+AA03の範囲を、また「A47J37/10:A47J37/10,301」を入力することでA47J37/10+A47J37/10,301の範囲を検索対象とすることは可能ですが、このような階層を意識した入力をしないと下位の階層の文献が検索から洩れてしまうことになります。

検索メニューの選択

このようなことを考えますと「2.特許・実用新案テキスト検索」でFIやFタームを入力して検索を行うのは、スクリーニング数を絞るためにどうしてもFIやFタームとテキストを組み合わせた検索をしたいとか、平成5年よりも前の文献はあまり考慮しなくてよいというような事情がある場合に限定し、できるだけ「3.特許・実用新案分類検索」の方を使用するのがよいと思います。「3.特許・実用新案分類検索」ではFI,Fタームの階層も認識しますし、テキストデータが存在しない昭和以前の文献もヒットします。上記の4B059、AA02、AA03やA47J37/10、A47J37/10,301の例では明治時代の文献もヒットします。

FIやFタームはアルファベットと数字の羅列で直感的に意味を把握しにくいためテキスト検索と比べると若干ハードルが高い面もありますが、検索時間の一部をFタームリストやFIハンドブックの参照にあて、適当なFIやFタームが存在する場合には「3.特許・実用新案分類検索」の方で分類検索を行うことで先行技術文献調査の精度向上が期待できます。

ワン・ポータル・ドシエ

外国の審査情報等へのアクセスが容易に

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)にワン・ポータル・ドシエの機能が追加され、パテントファミリーやその審査状況等の情報が得られるようになりました。これまでもEspacenet(ヨーロッパ特許庁のサイト)やUSPTOのサイトを利用してパテントファミリーの審査状況等を調べることはできましたが、例えば出願番号や公開番号の入力形式(「ー」や「/」の有無等)がまちまちだったり、審査情報をどのようにして見ることができるのかわかりにくかったりして使いにくい面があり、慣れていない人にとっては若干ハードルが高かったかもしれません。J-PlatPatにワン・ポータル・ドシエの機能が追加されたことでパテントファミリーの情報にアクセスしやすくなりそうです。

特許調査への利用

ところでパテントファミリーの情報を調べる目的としては、自身が担当する案件の外国における審査状況の把握や、競合他社の動向調査等が考えられますが、先行技術文献調査にも有用です。

外国の審査で引用された文献を調べる

例えば、先行技術文献調査で調査対象の発明に近い内容が記載された文献が見つかった場合に、その文献のパテントファミリーの審査で引用された文献の中からさらに近い内容が記載された文献が見つかる可能性があります。

外国文献検索における分類選択に利用する

外国文献のサーチではCPC等の分類を適切に選択する必要がありますが、調査対象の発明に近い内容が記載された文献のパテントファミリーに付与された分類を参考にすることで、外国文献検索における分類選択の精度向上が期待できます。

なお先行技術文献調査でスクリーニングする文献にはパテントファミリーが存在しないものも多く含まれていますので、まずは特表、再表、国際公開のようなPCTルートの文献やパリルートの優先権主張を伴う文献から調べてみるとよいと思います。

特許調査について

どこで調査を終えるか

例えば出願前に先行技術文献調査を行う場合に、どの程度の調査を行えばよいか多くの方が迷うのではないでしょうか。出願しようとする発明のポイントと同じ内容や近い内容が記載された文献が見つかって特許性が低いと判断できるような場合には、限定を追加して出願したり、あるいはその出願は取りやめ、予算や時間を他の案件に割り当てるというような対応をとることができると思います。このようなケースですと一応調査の目的は達することができたと考えられますので調査を終えることができると思います。一方、特許性を否定する文献 が見つからない場合には、どこで調査を終えるべきか悩むことになるのではないでしょうか。

100%の調査は困難

なお先行技術文献調査は特許や実用新案の文献を調査対象とすることが多いですが、法律的には新規性や進歩性の判断の根拠となる先行技術は特許や実用新案の文献に限定されるものではな く、他の刊行物やインターネットで得られる情報、さらには不特定人(守秘義務を負わない者)の知識等も新規性や進歩性の判断の根拠となりえます。しかしながら、このようなものをすべて調査することは現実的には困難であり、また特許や実用新案の文献に絞ったとしてもその文献数は膨大で、いくら時間をかけて先行技術調査を行ったとしても100%特許性ありと断言することは困難です。

調査を終える目安

では何を目安とすればよいでしょうか。特許出願は特許庁の審査に通ることが目標になりますので特許庁の審査と同等の先行技術文献調査を行うということがまず考えられると思います。しかしながら、特許庁の審査では1000以上の文献をスクリーニングすることは普通ですし2000以上の文献をスクリーニングすることも珍しくありません。先行技術文献調査にかけられる時間や、あるいは特許事務所、特許調査会社等に調査を委託する予算が十分であれば特許庁の審査と同等の先行技術文献調査も可能と思いますが、現実的には特許庁と同等の先行技術文献調査を行うことは時間や予算の面で難しいことが多いのではないでしょうか。

また、どうせ100%の調査はできないのだから調査など行わずに出願してしまうという考え方もあるかもしれません。しかしながら、このような考え方もおすすめできません。登録調査機関で先行技術文献のサーチをしておりますと、サーチを開始して早い段階でサーチ対象の発明と関連性が特に高いと思われる分類からX文献(新規性を否定する文献)や有力なY文献(進歩性を否定する文献)が見つかることがしばしばあります。このような案件に遭遇しますと、そのような関連性が特に高いと思われる分類についての調査くらいは出願前に行っておくべきであったのではないかと考えてしまいます。なお、このようなケースは必ずしも個人や中小企業の出願に多いというわけではなく、むしろ大手企業の出願に多いように思われます。もっとも大手企業の出願数が多いので結果的にそうなっているだけかもしれません。

そうしますと特許庁の審査と同等の先行技術文献調査とまではいかないものの、特許庁の審査と同等の先行技術文献調査を行うと想定した場合に、サーチを開始して早い段階で検索することとなるであろう、サーチ対象の発明との関連性が特に高いと思われる分類を調査範囲とするという選択が考えられると思います。弊所ではこのような観点で基本調査を設定しております。また、より詳細な調査にも対応すべく追加調査を設定しております。また低額のニーズにも対応すべく簡易調査も設定しております。簡易調査は基本調査と比べますと精度が低くはなりますが、上記のように出願を検討している発明のポイントと同じ内容や近い内容が記載された文献が見つかるような場合には調査の目的を達することができたと言えると思います。また弊所の基本調査と同様の調査をお客様の方で行いたいという場合には、分類や検索式等に関するご相談という形でサポートすることも可能です。

調査に関する料金

調査に関する期間限定料金

審査請求料、特許料等の減免制度

(1)中小ベンチャー企業、小規模企業等の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料、国際出願に関する手数料が1/3または1/2に軽減される場合があります。

(2)個人の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料が免除されたり、 1/2に軽減される場合があります。

(3)法人の方で一定の条件を満たしていれば、審査請求料、特許料が1/2に軽減される場合があります。

詳細は以下を御覧ください。

審査請求料、特許料等の減免制度

※2019年4月1日から手続きが簡素化され、また適用範囲が拡大されました。

東京都助成金

東京都内の中小企業(会社及び個人事業者)等であれば外国出願(特許、実用新案、意匠、商標)、特許調査等の費用について1/2の助成を受けられる場合があります。詳細は以下をご覧ください。

東京都知的財産総合センター助成事業