ダイレクトPCTと審査ハイウェイ

PCT出願が増加

外国に特許出願する場合、パリルートかPCTルートのいずれかを利用することが多いと思います。PCTは費用が高いので例えば3か国以上に出願するならPCTルート、2か国以下ならパリルートを選択するというようなことをよく耳にします。したがって、PCTルートはどちらかというと少数派というイメージだったのですが、先日WIPOの方が講師をされているセミナーに参加しましたところ数年前からPCTルートで権利化されるケースがパリルートを上回っているそうです。

ダイレクトPCTの増加

私が扱ったPCTの案件ではまず国内に通常の特許出願をしておいて、これを基礎とする優先権主張をしてPCT出願をするというパターンが多かったのですが、最初からPCT出願するダイレクトPCTも増えているそうです。PCT出願では国際調査見解書が得られるため特許される可能性をある程度予測することができます。したがって、その後の国内移行や翻訳文の作成を進めてよいか判断しやすいことが理由の1つと考えられますが審査ハイウェイも関係しているようです。

審査ハイウェイとの関係

例えば出願人は国際調査見解書によって特許される可能性が高いと判断した場合、まず自国に国内移行して特許査定を受け、これに基づいて審査ハイウェイを利用して外国に出願することで外国でも特許査定が得られる可能性が高くなります。慣れない外国で拒絶理由が通知されると中間処理のための対応や費用の負担が大きくなりますが審査ハイウェイを利用することで拒絶理由が通知される可能性が低くなりますので中間処理の負担の抑制が期待できます。また結果的に権利化できずに終わってしまう外国出願のための無駄な翻訳文の作成費用の抑制も期待できます。

なおパリルートや優先権主張を伴うPCTでも審査ハイウェイを利用することは可能ですが、例えば自国で特許査定を受ける前に外国で審査が開始されてしまいますと審査ハイウェイの効果が得られなかったり効果が限定的となってしまう可能性がありますので、自国の審査は早期に受けることが望ましいことになります。ダイレクトPCTですと早期に国際調査見解書が得られますので自国で早期に審査を受けてもよいかどうか等の判断もしやすくなります。このようなことより外国へ特許出願をする場合は一応選択肢の1つとしてダイレクトPCT+早期審査+審査ハイウェイというパターンを検討しておくべきと考えます。

特許庁国際出願関係手数料表

PCT出願の料金

PCT出願の期間限定料金

ダイレクトPCT出願のモデルケース